AICLI CHEATS ● 基礎知識 06 · AI エージェントとは 最終更新 2026.05.17
06
基礎知識 / FUNDAMENTALS

AI エージェントとは


ChatGPT のような単発応答型と、Claude Code のような自律実行型の違い。ツール呼び出し、自律性の濃淡、実用上の境目を整理。

公開 2026.05.17

「AI エージェント」という言葉は2024年あたりから一気に広がったが、定義が人によってずれている。Claude Code や Codex CLI を使う上での実用的な意味を整理する。


単発応答型と自律実行型

LLM の使い方は大きく2つに分かれる。

単発応答型(チャットボット)

ユーザーが入力 → LLM が応答 → ユーザーが次を入力 → … の繰り返し。LLM はテキストを返すだけで、実際にファイルを書いたりコマンドを実行したりはしない。

例: ChatGPT の Web UI、Claude の Web UI、API への単発リクエスト

自律実行型(エージェント)

ユーザーが目的を伝える → LLM が「次に何をすべきか」を考える → ツール(ファイル編集、コマンド実行、API 呼び出し)を実行 → 結果を見て次のステップを考える → … を目的達成まで繰り返す。

例: Claude Code、Codex CLI、Gemini CLI、GitHub Copilot CLI

エージェントの本質は「LLM が、自分の出力を見て次の行動を決める」というループ構造にある。


ツール呼び出しの仕組み

LLM 自体はテキストしか返せない。ファイルを書いたりコマンドを実行する能力は、外側のプログラム(CLI)が提供する。

仕組みは大まかにこう:

  1. CLI が「使えるツール一覧」を LLM に伝える(例: read_file, write_file, run_bash 等)
  2. LLM が「read_file('src/app.ts') を呼びたい」というテキストを返す
  3. CLI がそのテキストを解釈してツールを実行
  4. 結果(ファイルの中身)を LLM に渡す
  5. LLM が次の判断をする

ユーザーから見るとシームレスに動いて見えるが、内部では「LLM 出力 → ツール実行 → 結果フィードバック」を何度も繰り返している。


自律性の濃淡

エージェントと言っても、自律性の度合いはツールによって違う。

弱い自律性(Suggest 型)

LLM が「これをやるべき」と提案するが、実行は人間がボタンを押す。IDE 統合型(Cursor の編集承認モードなど)はこの形が多い。

中程度の自律性(Auto-edit 型)

ファイル編集は LLM が自律的にやるが、コマンド実行(特にネットワーク・破壊的操作)は承認制。Claude Code や Codex CLI のデフォルトはこのあたり。

強い自律性(Full-auto 型)

全部承認なし。LLM が判断してファイル編集もコマンド実行も自動でやる。Claude Code の --dangerously-skip-permissions、Codex の --full-auto、Gemini の --yolo、Copilot の --allow-all-tools がこれ。

濃さを上げるほどユーザーの介入は減るが、間違ったときの被害も大きくなる。詳しくは AI CLI の権限モード総まとめ を参照。


エージェントが向く作業・向かない作業

向く作業

  • 多段階で粘る作業 — テスト書いて → 失敗を見て → 修正する、のような反復が必要なタスク
  • 複数ファイルにまたがる変更 — 型定義を変えて、それを使っている箇所を全部追従させる
  • 試行錯誤が許される実装 — プロトタイピング、PoC、検証コード

向かない作業

  • 本番への直接デプロイ — エージェントの判断ミスがそのまま事故になる
  • 法務・契約のような正確性が命の文章 — 「それっぽい」回答を出してくる
  • 要件が曖昧なまま投げる作業 — エージェントは指示を額面通りに解釈する

「人間に何を任せて、何を任せないか」の線引きが、エージェントを実用で使う一番のコツ。


なぜ「エージェント」という言葉が乱発されているか

2024 年以降、ほとんどの AI 製品が「エージェント」を名乗るようになった。実態は「単発応答型に少し機能を足しただけ」の場合もある。判別の目安:

  • 本物のエージェント — ループ構造を持ち、ツール実行と結果フィードバックを自動で繰り返す
  • エージェント風 — 単発応答 + 提案表示のみ。実行はユーザーが手動

本物のエージェントを名乗るには、最低限「LLM が自分でツールを呼び出して、結果を見て次の行動を決める」ループがあるか確認するといい。


関連記事