Moonshot AI のターミナル型コーディングエージェント。コードの読み書き、シェル実行、Web取得を行い、Kimi モデルだけでなく互換プロバイダも設定できる。旧 Python 版の kimi-cli から再設計された現行版は Kimi Code CLI。この記事は v0.29 系を対象にする。
単一バイナリで導入でき、Plan モード、Skills、MCP、サブエージェント、hooks、ACP に対応。機能の幅は Claude Code や Codex CLI にかなり近い。
凡例
- 🟢 安全 — 読み取り・参照のみ
- 🟡 注意 — ファイル編集、課金、外部送信、ローカルサービス起動あり
- 🔴 危険 — 承認スキップ、認証解除、破壊的操作リスクあり
クイックリファレンス
起動オプション
| コマンド | リスク | 用途 |
|---|---|---|
kimi | 🟡 | カレントディレクトリで対話セッションを開始 |
kimi -c / --continue | 🟢 | このディレクトリの直近セッションを再開 |
kimi -S / --session [id] | 🟢 | セッション選択、またはID指定で再開 |
kimi -p "..." | 🟡 | 非対話で1プロンプト実行 |
kimi -m <model> | 🟢 | 起動時のモデルを指定 |
kimi --plan | 🟢 | 読み取り中心のPlanモードで開始 |
kimi -y / --yolo | 🔴 | 通常のツール承認を自動許可 |
kimi --auto | 🔴 | 承認に加えてユーザーへの質問も省略 |
kimi --skills-dir <dir> | 🟡 | Skillsの探索先を一時的に置換 |
kimi doctor | 🟢 | 設定ファイルを検証 |
kimi upgrade | 🟡 | 更新を確認・適用 |
--yolo と --auto は同じではない。YOLO は通常のツール承認を省略する設定。Auto はさらに、エージェントがユーザーへ質問せず自律的に判断する。どちらも重要なリポジトリでは慎重に。
スラッシュコマンド
| コマンド | 用途 |
|---|---|
/help | ショートカットとコマンド一覧 |
/status | バージョン、モデル、作業場所、権限モードを確認 |
/usage | トークン、コンテキスト、クォータを確認 |
/btw [質問] | メインの流れを汚さずサブエージェントへ横質問 |
/mcp | MCPサーバの接続状態を確認 |
/mcp-config | MCPサーバの追加・編集・OAuth認証 |
/plugins | プラグイン管理画面を開く |
/update-config | config.toml / tui.toml を確認・編集 |
/import-from-cc-codex | Claude Code / Codexの設定をインポート |
/feedback / /bug | 診断情報付きでフィードバック送信 |
/exit / /quit | 終了 |
インストール
macOS / Linux
curl -fsSL https://code.kimi.com/kimi-code/install.sh | bash
Windows PowerShell
irm https://code.kimi.com/kimi-code/install.ps1 | iex
Windowsではシェル実行にGit Bashを使うため、先にGit for Windowsが必要。独自の場所へ入れた場合は KIMI_SHELL_PATH に bash.exe の絶対パスを設定する。
確認:
kimi --version
kimi doctor
公式インストーラはNode.js不要。開発版をソースから動かす場合だけNode.jsとpnpmが必要になる。
ログイン
CLIを起動して /login を使うか、端末から直接ログインする。
kimi login
認証方法は主に2つ。
- Kimi Code OAuth — ブラウザのデバイスコード認証
- Moonshot AI Open Platform APIキー — API利用量に応じた課金
🟡 注意 / 認証経路によって利用モデル、クォータ、課金方法が異なる。ログイン後に /status と /usage を確認する。
セッションの開始と再開
cd your-project
kimi
直近の作業を再開:
kimi --continue
履歴から選ぶ、またはIDを指定:
kimi --session
kimi --session 01HZ...XYZ
非対話実行
kimi -p "変更差分を要約して"
kimi -p "変更ファイルをJSONLで出して" --output-format stream-json
🟡 注意 / -p はTUIを開かず、通常のツール呼び出しをAuto権限で処理する。静的なdenyルールは残るが、人間への承認質問は出ない。CIに入れる前に読み取りだけの指示で挙動を確認したい。
stream-json は1行1JSONの出力。アシスタントの応答、ツール呼び出し、ツール結果をスクリプトで処理できる。
Plan / YOLO / Auto
Planモード
kimi --plan
🟢 安全 / まず読み取り系ツールで調査し、ファイルを変更する前に実装計画を作る。知らないリポジトリに入るときはこれが無難。
YOLOモード
kimi --yolo
🔴 危険 / Write、Edit、Bash など通常は確認が必要なツールを自動承認する。外側をコンテナやVMで隔離していない普段の作業環境では避ける。
Autoモード
kimi --auto
🔴 危険 / ツール承認だけでなく、曖昧な点をユーザーへ質問せずエージェント側で決めて進む。長時間タスクほど意図から外れたまま走るリスクが上がる。
組み込みツールと権限
デフォルトの扱いは次のとおり。
| ツール | デフォルト | 内容 |
|---|---|---|
Read | 自動許可 | テキストファイルを読む |
Grep / Glob | 自動許可 | コード検索・ファイル探索 |
ReadMediaFile | 自動許可 | 画像・動画をモデルへ送る |
Write / Edit | 承認が必要 | ファイルを作成・変更 |
Bash | 承認が必要 | シェルコマンドを実行 |
.env や秘密鍵など一部の機密ファイルは検索時に自動除外される。ただし、機密情報を含む通常名のファイルまで完全に見抜けるわけではない。
Skills・Plugins・MCP
Kimi Code CLIは SKILL.md ベースのAgent Skillsに対応する。追加Skillは /skill:<name> で呼び出せる。
/skill:code-review
起動時だけ別のSkillsディレクトリを使う場合:
kimi --skills-dir ./team-skills
このフラグは自動探索先を追加するのではなく置き換える。恒久的な追加は config.toml の extra_skill_dirs を使う。
MCPは /mcp-config から対話的に登録できる。設定ファイルを手書きしなくても、追加・編集・OAuthログインまで進められる。
🟡 注意 / Skills、plugins、MCPは外部コードや外部サービスへ権限を渡す拡張機能。インストール元と要求権限を確認する。
IDE連携(ACP)
kimi acp
ACP(Agent Client Protocol)対応IDEからKimi Code CLIを操作するためのstdioモード。ZedやJetBrainsなどから起動するのが基本で、普段は手動実行しない。
ローカルWeb UI
kimi web
kimi web --no-open
ローカルのREST / WebSocket APIとWeb UIを前景プロセスで起動する。既定は 127.0.0.1 だけにbindし、Bearer token認証も有効。
kimi web --host --dangerous-bypass-auth
🔴 実行しないこと。 全インターフェースへ公開したうえで認証を外す組み合わせ。到達できる相手にセッション、ファイルシステム、シェルへのアクセスを渡すことになる。
旧 kimi server コマンド群は非推奨。現行版は kimi web を使い、終了は Ctrl-C。
セキュリティで意識すること
- 初めてのリポジトリは
kimi --planから始める --yolo/--autoはVMやコンテナなど、外側で隔離した環境に限定-pは承認ダイアログが出ないため、CI投入前にツール範囲を検証- 動画・画像もモデルへ送信される。顧客情報や未公開画面を安易に添付しない
- MCP、Skills、pluginsはインストール元と権限を確認
- Web UIの
--dangerous-bypass-authを外部公開と組み合わせない
つまづきがちな点
「古いKimi CLIの記事とコマンドが合わない」
→ Python実装の旧 kimi-cli と、現行の単一バイナリ版Kimi Code CLIが検索結果に混在している。この記事は MoonshotAI/kimi-code のv0.29系が対象。
「-p なのにファイルが変更された」
→ -p は質問専用モードではなく非対話実行。通常ツールはAuto権限で処理される。読み取りだけにしたい意図を明示し、deny設定も併用する。
「Skillsが見つからなくなった」
→ --skills-dir は既定の探索先を置き換える。既存Skillも残したい場合は extra_skill_dirs を設定する。
「Web UIを止めたい」
→ 現行の kimi web は前景実行なので、そのターミナルで Ctrl-C。旧版向けの kimi server kill は通常不要。
公式情報: Kimi Code CLI Docs / GitHub Releases